2005年 11月

ドラえもん最終話リメイク (連載第48回)                         

 「のび太さん、どうしたの?急にドライブへ行こうだなんて」
車へ乗り込んできたしずかが愉快そうに訊いた。うん、とだけ応えるのび太。数秒の沈黙の後、のび太は妙に明るい調子で言った。
「ねえ、しずかちゃん、温泉に行こう。丁度、山の方は紅葉してる頃じゃないかな?」
「温泉?言ってくれれば、着替えとタオル持ってきたのに」
「どこかで買えばいいよ、ね?」

 のび太としずかを乗せた車は練馬ICから関越自動車道へ入り、水上ICまでの141.2kmを一時間足らずで駆け抜け、午後2時過ぎ頃には既に温泉宿が建ち並ぶ温泉街にいた。まだ日も高かったので、のび太は老舗旅館の駐車場に車を停めるとチェックインの手続きを済ませ、荷物を部屋に置いてから、しずかと近くの野山を散策に出た。
 見渡す限りの紅葉した木々の中を、のび太としずかが肩を並べて歩く。未舗装の山道に降り積もった落ち葉は踏み締めると湿った香りがした。凛と引き締まった空気が心地良い。
「綺麗ね」
しずかが感嘆の声を上げた。のび太も同意して頷く。空は澄み渡り、遠くの山の稜線もくっきりと見える一方で、山の梺の里は霧が霞んでいる。のび太としずかは30分程歩き、気に入った落ち葉を2、3枚ずつ拾って宿へと戻った。

 冷え切った身体を、部屋付きの露天風呂で温める。部屋に付属する家族風呂なので、のび太としずかだけの貸し切りである。のび太は硫黄の匂いを心地好く感じつつ、身体を湯に沈めた。

11月27日(日) 2005 紅葉、露天風呂 


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