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ドラえもん最終話リメイク (連載第45回) |
のび太としずかは、にわかに忙しくなった。カリフォルニア行きの準備のために荷物を纏め、梱包し、航空券の手配をし、式場を予約し…、と、やることが沢山ある。その他にも、のび太は、住居手配のための向こうの事務局とのやりとり、キャルテクへ着いてすぐに予定されている学内での親善発表用資料作成などをしなくてはならなかったし、しずかには、現在勤めている会社を辞める手続きや、結婚式のための衣装合わせなどがあった。幸い、パスポートに関しては、のび太は先月イギリスで行われた学会発表に参加した際に、しずかは去年の末に海外旅行をした際に、それぞれ取っていたので問題は無い。挙式は6月上旬に一時帰国して行うこととし、今回は籍だけ入れて、アメリカへ旅発つことになった。
この二週間程は随分と慌ただしかったが、どうやらそれらすべき事をクリアして、明日はいよいよ出発の日となった。のび太としずかは明日昼頃の飛行機でカリフォルニアへと向かう。のび太としずかにとって、今夜が各々の家族と過ごす最後の晩だ。 「ええ、のび太さん、明日はパパが車で成田まで送ってくれるそうよ。それじゃあ、明日の朝九時に、のび太さんのお家の前まで迎えに行くわ。ええ、じゃあ、また明日。おやすみなさい」 |
8月6日(金) 2004 出発前夜
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ドラえもん最終話リメイク (連載第46回) |
のび太はカリフォルニア工科大学での研究で成果を上げ、当初半年だったはずの滞在期間は結局、二年間にも及んだ。最近ではしずかもすっかりアメリカの生活に慣れ、地域の主婦コミュニティーで編み物をしたり、ボランティア活動を楽しんだりしていた。そんな折り、山田からのび太に一通のeメールが届いた。内容は、日本でのび太が所属する大学で、帰国した際はのび太を助教授として受け入れる事が教授会で決まったというものだった。のび太は、このままアメリカで研究を続けたいという気持ちも多少はあったが、のび太のそれまでの研究にちょうどキリが付いたところだったという事もあり、帰国を決意した。
アメリカ滞在最後の週、のび太としずかは、ほぼ連日、同僚や親しくなったご近所が開いてくれたお別れパーティーに出席することになった。くたくたになりながらも、荷物を日本へ送ったり住居を引き払う手続きをしたりし、どうにかこちらでの仕事を全て終えた。明日は帰国の予定だ。 のび太としずかは搭乗のためのパッキングも終え、自宅のソファーに並んで座っている。テーブルの上には赤ワインとワイングラスが二つ。壁に取り付けられた間接照明は部屋をやわらかく照らしている。のび太がワインをグラスへ注ぐ。 帰国後、助教授となったのび太はますます研究に精を出した。そして、ドラえもんの修理も密かに、しかし着実に進んでいった。 |
8月27日(金) 2004 助教授、のび太
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