Starmacks Cafe/ Topics of the Macintosh, and so on...

15.「iPod mini 解禁!」編

※バックナンバーの時間軸は上から下への流れになります。

イベント前夜     7月23日(金) 2004
いよいよ明日、日本でもiPod miniが発売となる。朝10時より始まるApple Store, GinzaでのiPod mini発売記念イベントには、今回、どのくらいの人が集まるのだろうか。私としては、人が沢山来過ぎてTシャツが貰えないのも嫌だし、かと言って、万が一、あまり人が集まらなかったとしたなら、それはそれで寂しい。

おっと、Apple Store, Ginzaが開店する前日にも同じことを言ってたぞ、私。とすると、やはり今回も、開店前からもの凄い行列、というパターンか…。iPodやiPod miniの購買ターゲットは、当然ながらMacユーザーだけでは無い。となると、そのイベントにはWinユーザーが大挙して…?う〜ん、どうだろう。

しかし、WinユーザーでiPod miniを購入予定、という人の大半は、iPod miniを(どの店ででも)買えさえすれば満足の筈。Winユーザーの誰が好きこのんで長い行列を並び、Apple Store, Ginzaのイベントに参加したがるだろうか。うん、やはり今回のイベントも集まってくる人の大多数はMacユーザーの筈だ。

などと、今から明日の混み具合を詮索をしていても仕方がない。人が集まるときは集まるのだ。そう達観して、少し早めに銀座へ着くようにするのだ。(ところで、7月8日のiPod mini発売発表直後に、オンラインのApple Storeで予約した人にはもう発送が始まっているとのこと。羨ましい)

という訳で、今夜はもう寝ます、明日のために。おやすみなさい。戦士にしばしの休息を。ちゃららら、ら〜ら〜ら〜。(←パーティーが宿に泊まったときのBGM by ドラクエ)



Tシャツゲット!       7月24日(土) 2004
何故だか、休日は多少寝坊をする傾向があるようだ。今朝も私が銀座に到着したのはApple Store Ginzaオープンの日と同じ10時半。しかし、それでも私には何か確信めいたものがあった。”大丈夫だよ、今日はそんなに混んでないよ…”と頭の中でカツ・レツ・キッカの声がするような気さえする。何故って、今日はこんなに暑いのだから。もしかしたら、殆ど並ぶ事さえなく入れるかも…。

しかし、Apple Storeのある中央通りに出て私は、その考えが全く甘かった事を知った。ああ、今回もやっぱり人、人、人…。そのとき、カツ・レツ・キッカは疾うにどこかへ消え失せていた。だが、最後尾を確認するとその列は意外と短く、せいぜい200mといったところだろうか。これなら並ぶ気にもなれる。私は何も考えずその最後尾へと並んだ。

ところがすぐに、何の準備もせず並んだことを後悔することになる。7月の強烈な日差しが容赦無く頭へと照りつけ、そこには何も遮る物は無い。並びはじめた直後は滑稽にさえ見えていた”黒い日傘の男達”が、えらく賢く思えてきた。汗は止めどなく流れる。…しまった、せめてミネラルウォーターくらい買ってくるべきだった。

幸い、私はキャンバス地の鞄を持っていたので、それを手でかざし頭を保護する。彼氏、彼女や、友達数人と並んでいる人達は、交互に列を離れ、歩道脇にある店で涼んだりしているが、一人で並んでいる場合はそれもままならない。ふと見ると、私の左脇で、やはり一人で並んでいる若い女性の顔が真っ赤になっている。口にはハンカチを当てて今にも倒れるのではないか、とさえ思わせる程。

私はiPodを聴きながら、ただ並ぶ。そうこうするうちにApple Storeのスタッフが情報を持ってやってきた。「まだ、Tシャツはあります。ただ、iPod miniの方が、ゴールドとグリーンは売り切れてしまいました。シルバー、ブルー、ピンクはまだお求めになれます。尚、iPod miniのご購入は、お一人さま二個までとさせていただきます」

えっ?予約分以外にも、当日持ち帰れる在庫があったなんて、それは逆にびっくりだ。私が欲しいブルーのiPod miniはまだ買える。私はオリジナルのiPodを所有しているので、iPod miniを予約してまで購入するのは躊躇していた。だが、”寝耳に水”的に持ち帰れるものがあると聞かされると…。私は大いに葛藤した。しかし、熱にやられた頭はボーっとしていて思考がなかなか纏まらない。

今思うと、自分用にも一つ買ってしまえば良かったのだ。だが、直射日光にやられた私は携帯電話を取り出していた。そう、友人、知人のうちで、iPod miniを欲しがっていた数人に、”欲しければ買っていってあげる”、と電話をしたのだ。(←こんな友達、私も欲しいぞ)

私一人で購入できるiPod miniは二つまで。iPod miniは今から予約しても6週間待ちとさえ言われている、言わずと知れた人気商品だ。二個という枠は、すぐに埋まった。別のスタッフがiPod miniの実物を持って、並んでいる我々に見せに来る。そのとき、はじめて私も手に取って見てみたのだが、本当に小さい。作りもしっかりしている。欲しくなってきた。

買っていってあげる、と言った事を早くも後悔。買えなかったことにして自分で使おうか…。などと考えていると、今度は雑誌の取材がやってきた。後ろの若いカップルがインタビューを受けている。それからしばらくすると、私のすぐ前に並んでいた女の子二人組がなにやら騒がしくなってきた。

私は、Apple Storeのスタッフが何かの説明に来たとき以外はiPodで音楽を聴いていたので、周りの音や会話は殆ど聞いてはいない。曲と曲の合間などに、途切れ途切れに声が聞こえてくる程度。だがそのときは、たまたま、プレイリストの最後の曲が終わり、iPodが止まったので、その女の子二人組の会話が良く聞こえたのだ。

どうやら、その二人は短期間の海外留学を経験し、すっかりネイティブの気分なのだそうだ。でも、英語の説明書は読めない、と大声で主張していた。そして、こう言っていた「やっぱりさー、留学した人としてない人って違うよね。私なんて、つい、オウチッとか言っちゃうもん」

Ouchと書いて、アウチと発音するんですけど…。心の中で、小さくツッ込んでみる。さて、そろそろ並び始めてから1時間半。ようやくApple Storeが目前となった。左隣の女の子はどうにか持ちこたえた。前の女の子二人組は相変わらず騒がしい。

そのとき、並んでいる我々の目の前を、アメリカ人スタッフの友人と思しき若い日本人カップルが、そのアメリカ人に促されて並ぶことなく店内に入って行った。我々、並んでいる列に、「そりゃないぜ…」的な空気が流れる。そういう事をするなら、炎天下、何時間も並んでいる人達の目の前で、ではなく、せめて”裏口から入れる”などの配慮をすべきだと思うが…。

その数分後、どうにか入店!列に並んでいるときに話をしたスタッフが「イベントに合わせて、今朝4時まで掛かって改装したんですよ」とボヤいていた店内を見回す。うん、iPod mini一色だ。おっと、パイプ椅子を持って買い物をしている人を発見。その人は、外で待っている間その椅子に座っていたに違いない。

クーラーの風にあたり、ようやく生き返ると、私はTシャツを貰うためにすぐさま四階を目指す。そして、念願のTシャツをゲット!デザインは今一つだが、イベント参加記念だ、大切にしよう。Tシャツを受け取ると、私はまた直ぐに一階へ戻り、列に並んでiPod miniを受け取る。

幸い、頼まれたブルーとピンクはまだ在庫があった。それを持って今度は二階へ。何階のレジで精算しても良いのだが、二階の列が一番短い事を先程確認している。だが、レジに並ぶも、その列は遅々として進まない。列の前方を見ると、店内にかなりの音量で鳴り響いている音楽に合わせて、小柄で恰幅の良い男性客がノリノリで踊っている。うわ、目がマジだ。

レジの列に並んで少し経った頃、私の直ぐ後ろで並んでいた若いお父さんに話掛けられた。「この子がトイレに行きたいと言うので、済みませんが、荷物を見ていていただけないでしょうか?」
見ると、そのお父さんの傍らで、3、4歳くらいのかわいらしい女の子がモジモジしている。私は直ぐに了解した。そして、その子はどうやら間に合ったようだった。良かった。

レジでは結局、更に1時間程待たされた。が、トイレから戻って来た女の子が時々私のシャツを引っ張り、目が合うとニッコリ、というのを飽きずに繰り返していたので、終始、気持ちは和みムードだった。

ところで私の昨日の計画では、さっさとTシャツを貰い、10時開始のGarageBandワークショップに少し遅れて参加、などと思っていたのだが、とんでもなかった。ようやく1時過ぎにiPod miniを購入。それからやっとランチにありついたのだった。因みに、ランチは、銀座”梟”の醤油ラーメン。美味。

その後、帰宅するやいなや、購入依頼者の許可を得て、早速iPod miniを開封。うへー、綺麗。液晶やバックライトも表示が均一で、安定している。私のPowerMac G5に繋いで、一曲だけ転送してみる。曲はもちろん、Steriogramの"Walkie Talkie Man"。私のiPodのヘッドフォンを差して、再生。

うっ、音が良い。パンチがあって透明感もある。イコライザーがデフォルトで入っているのかも、とも思い、設定を見てみるがEQはオフだ。って事は、内蔵のアナログアンプもオリジナルiPodのものより良い?!うーん、益々欲しくなったかも。このまま行くと、近いうちに”ポチっとな”してしまっている自分が居るかもしれない。

さて、今回もかなり楽しんだ。今日の収穫は、iPod miniブルー、iPod miniピンク、イベント記念のオリジナルTシャツ、幾人かの変わった人目撃体験、iPod mini日本発売イベントの騒ぎに参加できた想い出、そして、ちいさな女の子の笑顔。


今回も、銀座の街に行列が続く。Apple Store, Ginza開店初日のときに比べたら、まだ全然マシではあるけれど…。
朝、10時半頃の最後尾はこの辺り。
Apple Storeスタッフが持ってきた、デモ用のiPod mini。すごく小さい。
並ぶこと1時間半。ゴールは目前だ。
Apple Store, Ginza 4Fにて。たった今ゲットしたばかりのTシャツを、iMacのデモ機と一緒に記念撮影。
今回、iPod mini二つをゲット。
iPodとiPod mini。実物は写真で見るよりも、もっと大きさに差があるように感じられる。


Motorolaの電話でiPod?!     7月28日(水) 2004
米国時間7月26日、AppleとMotorolaは「iTunesからMotorola製携帯電話へ曲を転送して聴くことができるよう提携した」と発表した。その利用には、現在開発中の"iTunes mobile music player"と、Motorolaの次世代携帯電話機、"always with you"(いつでも君と。←Motorolaのネーミングセンスって…)が必要だとのこと。来年上半期中に利用可能となる見込み。

以前私が”iPodに電話が付いたら欲しいかも”などと書いたことがあったが、早くも現実となるようだ。ただし、”iPodに電話が付く”のではなく、”電話にiPodの機能が付く”のだけれど。サイズ的に考えて、来年リリースされるものは”シリコンプレーヤー”付き電話機となりそうだ。これは、HDDタイプであるiPodやiPodminiとは競合しない筈。さすがはジョブズ、商売が上手い。

”次世代携帯”への、曲データ転送インターフェースはUSBかBluetoothになる予定との事。Bluetoothだと電波による非接触転送なので、ちょっと”未来派”な感じがして楽しいかもしれない。恐らく日本でも来年上半期とは行かないまでも、そのうち利用ができるようになるだろう。

最近、日本で利用されている携帯電話機でMotorola製の物をあまり見なくなったが、今回の提携はMotorolaにとっても追い風になることは、間違いナイ。(←長井秀和風)



次期G5はDualコア!?       7月31日(土) 2004
Power Mac G5に使われているCPU、PowerPC G5が、IBMのPowerPC 970(2.5GHzモデルはその90nmプロセス版である970FX)であることは良く知られている。そして、Apple CEO、スティーブジョブズによる昨年6月の「1年以内に3GHzに達する」という公約が守られなかったことからも、クロックアップがここへ来て頭打ちになりつつある(一時的なプラトーの可能性もあるが)ことが示唆されている。

そこでIBMは、CPU高性能化の別のアプローチを試みていた。それがDualコアのPowerPCだ。Dualコアとは、一つのチップに二つのCPUコアを持つ構造のことだが、IBMはすでに、そのDualコア版PowerPC 970をほぼ完成しているらしい。PowerPC 970は、元々、IBMのワークステーション用CPUであるPower4をデチューンしたもので、このPower4はDualコアであるから、IBMにとってDualコア化は特別難しい事ではなく、むしろお手のものなのだろう。

”アンタレス”というコードネームを持つこのCPUは、PowerPC 970MPと名付けられ、来年中にIBMのワークステーションやサーバに搭載される予定だ。また、今年の夏の終わりには、PowerPC 970MPのテスト用途での利用ができるようになるとのことなので、Appleでもその頃からPowerMac Dualコアモデルの開発を始めると思われる。(この8月には、AppleにPowerPC 970MPの最初のプロトタイプが配られるとのこと)

IBMの資料によると、ハードウェア及び、ソフトウェアの最適化が進めば、このDualコアプロセッサは、シングルコアのDualプロセッサより効率良く動作する。しかも、PowerPC 970MPは、コア一つ当たりのL2キャッシュが1MBだそうで、現行のPowerPC 970や、970FXの2倍(つまりチップ当たりでは4倍)だ。このプロセッサが速くない筈がない。

Dualコア、DualプロセッサのPowerMac G5、即ち、ただでさえ速いPowerPC G5のコアを4つも搭載したPowerMac…。とんでもないモンスターが、来年辺り発売されるかもしれない。



ご病気でしたかジョブズさん   8月2日(月) 2004

Apple CEOのスティーブジョブズが先週末に膵臓ガンの手術を受けたそうだ。どうりでWWDC 2004でも元気がなかった筈だ。あれはNew iMacの生産が遅れたためばかりではなかったようだ。

ジョブズは手術後の今日になって、Apple全社員に向けてメールを出した。致命的な腺ガンでは無かったので、幸い命に別状はなさそうだ。私がここでいろいろとコメントするより、そのメールを読んだ方が雰囲気が伝わると思い、下にその全文の拙訳を載せてみた。

ところで、病床にあるのに、メールの最後でしっかりPowerBookとAirport Express(日本での商品名はAirMac Express)の宣伝をしている。これが、前回の全社員向けメール同様、外部へリークする事を見越しての発言だとしたなら、やはり見上げた根性だ。

今回のソースはMacRumors.com

[拙訳]

チームへ

皆に知らせたい幾分個人的なお知らせがある。それを私から直接知らせたくてメールした。この週末、私は膵臓ガンの摘出手術を受け、それは成功した。私のケースは、膵臓ガンの中でも全体の1%程にしか表れない非常に稀なものだった。それは神経内分泌系隔絶細胞腫(islet cell neuroendocrine tumor)と呼ばれ、(私の場合のように)早期に発見されれば、外科処置によって完治しうるものだ。私の場合は、化学療法や放射線治療も必要なさそうだ。

通常の、膵臓腺ガン(adenocarcinoma)であれば、一般に完治せず、通常、余命一年前後と診断される。わざわざ私がこの事に言及するのは、普通、膵臓ガンと聞けば(または、Googleで検索してヒットするのは)、より一般的で致命的な腺ガンであるものだが、幸い(神のお陰で)、私のはそうではなかった事を言いたかったためだ。

私は8月中に回復するだろう。そして、9月には仕事へ復帰するつもりだ。私が居ない間のAppleはTim Cookに任せてあるので、下手な事にはならない筈だ。長すぎる8月の間は、きっとあなた達の幾人かに電話すると思う。そして9月に皆に会えることを楽しみにしている。

スティーヴ

追伸:このメールは17inch PowerBookとAirport Expressを使って、病院のベッドから送っている。

[原文]

Team,
I have some personal news that I need to share with you, and I wanted you to hear it directly from me. This weekend I underwent a successful surgery to remove a cancerous tumor from my pancreas. I had a very rare form of pancreatic cancer called an islet cell neuroendocrine tumor, which represents about 1% of the total cases of pancreatic cancer diagnosed each year, and can be cured by surgical removal if diagnosed in time (mine was). I will not require any chemotherapy or radiation treatments.

The far more common form of pancreatic cancer is called adenocarcinoma, which is currently not curable and usually carries a life expectancy of around one year after diagnosis. I mention this because when one hears "pancreatic cancer" (or Googles it), one immediately encounters this far more common and deadly form, which, thank god, is not what I had.

I will be recuperating during the month of August, and expect to return to work in September. While I'm out, I've asked Tim Cook to be responsible for Apple's day to day operations, so we shouldn't miss a beat. I'm sure I'll be calling some of you way too much in August, and I look forward to seeing you in September.

Steve

PS: I'm sending this from my hospital bed using my 17-inch PowerBook and an Airport Express.



便利機能?検索?フリーウェアも   8月4日(水) 2004
OS X v.10.3 "Panther"や、OS X付属のアプリケーションは、どれも良く考えられていて”痒いところに手が届く”感じだ。それ故、Exposeのように、多くの人が普段から使っている”便利機能”がある一方で、「言われてみれば便利だが、そんな機能がある事も忘れていた」といった機能も多々あるように思う。

もちろん、新機能も普段からバリバリ使いこなしている、という人も居るとは思うが、30代以上ではむしろ、”今までの慣れ親しんだやり方でついやってしまう派”が結構多いのではないだろうか。

私も先日、あるメールを探していた。メーラーはOS X付属の"Mail"だ。”あのとき来た、あのメールに確かパスワードが書いてあったんだよな…”(←パスワードくらい、ちゃんと管理しとけよ)などと考えながら、メールボックス内をスクロールしつつ自分の目で、今までに受信したメールをチェックしていく、が何故か目当てのメールが見あたらない。

”確か、先月の頭くらいに来たやつなんだけどな”と、その頃の日付のメールを何度もチェックするが、やはり無い。探し疲れた目を押さえつつモニターから顔を上げ、ふともう一度Mailに目を落とすと、その右上の辺りに検索窓があるのに気付いた。「ああ、こんな機能があったっけ」。

だが、正直、そんなに期待はしていなかった。何となく、かつての経験から、コンピュータ内の検索というのはファイル名を正しく覚えていないとあまり役には立たないもの、というイメージがあったのだ。ましてや受信したメールの個別の選択なんて…。

ところが、試しに私が探していたメールに書かれていたであろうキーワードを入力すると、とたんにそのメールが表示されたのだ。はっきり言って、凄く便利だ。こんなことなら、もっと早くこの機能を使えば良かった。それから改めて、OS Xにはあちこちに検索窓が在る事を再認識した。Safariしかり、Finderしかり。

そういえば、以前ジョブズが、「情報を分類するのではなく、情報を検索することが、今後、新たな潮流になる」と言っていたのはこういう事だったのか。その記事を読んだとき、「ジョブズ君は、何を当たり前田のクラッカー(古っ)な事を言ってくれちゃっているのだろうかね」などと思っていたのだが、そう思っていながら私自身、その意味を本当には理解していなかったということか。

確かに、私は未だに「あのファイルはあのHDDのこのフォルダに入れた筈」などとやっている。A型の私はただでさえ整理好きな上、どのファイルがどこにあるのかを、大体でも良いから自分で把握していないとなんだか落ち着かないのだ。だが膨大なファイルの全てを把握しきれている訳でもなく、今後は、考え方を改めなくてはならなくなるのかもしれない。

検索機能は、OS Xの次期バージョンであるv.10.4 "Tiger"でSpotlightとして結実する。

さて、"Mail"の検索機能の話をしたついでに、”便利なのに忘れがち”な機能として、Pantherの"command+tab"にも触れておきたいと思う。これは"command+tab"のキー操作によって、OS X上で使用中のアプリケーションを切り替えることができるというものだ。(皆さん、使ってます?)

例えば、「iTunesでBGMを流しながらMacで何か別の作業をしているときに電話が鳴った」というような場合。exposeでiTunesを前に出し、停止をクリックするか、そのショートカットであるスペースキーを押して、一時停止してから電話に出る、というのも勿論アリだが、command+tabでiTunesを選択、スペースキーを叩いてから電話に出る、というやり方もできる。

とても便利なcommand+tabだが、実はAppleによる”アイデア盗用”疑惑がある。これに関しては、随分以前のMacPeopleでも取り上げられていたが、LiteSwitch Xというデスクトップユーティリティー・ウェアに瓜二つなのだ。LiteSwitch Xの開発・発売元であるProteron LLCはAppleに、それに関する質問のメールを送っていて、その内容はWeb上で読む事ができる。だが、Appleからの回答は無いようだ。

因みに、LiteSwitch Xは、OS Xの"command+tab"と同等の機能に加え、コンテクストメニューから各アプリケーションの「終了」や「隠す」が選択可能の他、ウィンドウ設定で、アプリケーション切り替え時に OS 9 のように、デスクトップをクリックした際に Finder のウィンドウを全面にポップアップするようにしたり、アプリケーションがアクティブになる際にその関連のウィンドウを全て全面に出したりといった設定が可能、とかなり高機能だ。

LiteSwich Xの最新バージョンは2.1(英語版)で価格は$14.95。だが、バージョン1.01ならば、日本語版、英語版とも現在は無料で利用できるフリーウェアとして公開されている。(英語版はこちら)フリーウェアとは言っても、バージョン1.01は今年の6月にバージョン2.0が出るまで、やはり$14.95で売られていたものなので非常にお得感がある。


メールに含まれるキーワードで検索したところ。本文中の検索キーワードは網掛け表示になる。(左の写真をクリックすると大きな画像でみられます)
command+tab機能を実際に使ったときのデスクトップの様子。


幻のiPhoto 4.0.2            8月6日(金) 2004
iPhoto4を使っている人は、昨日の8月5日から、ソフトウェア・アップデートでiPhoto 4.0.3をダウンロードできるようになった。あれ?iPhoto 4って、確か8月2日にバージョン4.0.2が出たばかりの筈なんだけど。わずか三日間で次のバージョンに取って代わってしまった。

iPhoto 4.0.3についての説明を読むと、『スマートアルバムとヨーロッパ言語のブックに関する問題に対応しました。また、新しいバージョンの iPhoto が利用可能になったときに通知する機能が追加されました』とある。この説明文はiPhoto 4.0.2のときと全く同じものだ。とすると何が変わったのか。

例によってAppleからの説明は無いが、バージョン4.0.2をリリースした直後に何らかの不具合が見つかったのだろう。その対応の迅速さから考えて、そんなに大規模な修正ではなかったのだと思うが、それでも「コッソリと修正」するのではなく、バージョンを一つ上げてアップしたのはiPhoto開発者の良心といったところか。

もはや幻のバージョンとなってしまったiPhoto 4.0.2にどんなバグがあったのか。私には与り知らぬ事だが、三日で消えたバージョン4.0.2は明智光秀のようだな、などと思いつつ、私は僅か数日前にアップデートしたばかりのiPhotoを再インストールしたのだった。



iChat AVしたい           8月9日(月) 2004
先週末、Apple Store, GinzaでiChat AVを試してきた。やっぱり楽しい。フラフラとiSightを衝動買いしそうになったが、そこは思い留まった。安いウェブカムもいろいろとあるが、PowerMac G5とのデザインの統一性やMacでの簡便性、画質のシャープさなどから、買うならやはり私はiSightがいい。

ただ、iSightを買ってすぐに、もっと画素数の多いNew iSightが出たりはしないだろうか。現行のiSightは約30万画素だが、ネット上でウェブカムについて調べてみると、今のところはやはり、30万〜35万画素程度のものが多いようだ。中には、130万画素などというウェブカムもあるにはあるが、これはMac非対応だ。

しかも、もし130万画素まで欲しいなら私の場合は所有するビデオカメラを繋いだ方が画質は良いだろう。ただ、フラッシュレートや圧縮形式にもよるが、その場合転送レートは結構大きくなりそうだ。そう、”圧縮形式”、これはキーワードだろう。

次期OS X、v.10.4 "Tiger"には、MPEG-4 Part 10としても知られる新コーデック、H.264/AVCが搭載される。これによって、今までと同じビットレートで、より高画質での映像のやりとりが可能になる。つまり、AppleがH.264の採用に合わせて、より画素数の多いiSightを出すのではないかという懸念が私にはあるのだ。

ただ、Appleは、H.264による恩恵を、1対1でのiChat AVのクオリティーを上げることよりも複数での同時コミュニケーションへ割り振る方向性のようだ。"Tiger"ではビデオチャットは同時に4人まで、音声チャットに関しては10人までの同時チャットが可能になる。

では、通信速度の視点から考えてみる。H.264を使った場合のレートは、「標準的なHD映像(1,280×720、24p)であれば5〜7Mbps、フルHD映像(1,920×1,080、24p)であれば7〜9Mbps」だそうなので、これを参考に考えると、100万画素クラスでフラッシュレートが15pの場合で3〜4Mbps程度…?。下りはともかく、上りでこのスピードを出すのは光ケーブルでもないと難しそうだ。

現在、我が家のADSLは下り6〜7Mbps、上りだと1.5Mbpsと言ったところ。するとiChat AVをするなら今のところはiSightの30万画素というのはバランスの良いところなのかもしれない。そう考えるとiSight、益々欲しくなってきた。あ、でも、一人でiSight買ってもiChat AVはできないんだった。これは誰か知り合いを引き込むしかないか?!

追加情報:日本時間8月10日現在、OS X 10.3.5とSecurity Update 2004-08-09が利用できるようになりました。



騒音、原因解明!          8月12日(木) 2004

暑い。立秋を過ぎたなどと言ってもまだまだ暑い。そもそも、立秋とはいかなるものか。私が普段から持ち歩いている広辞苑電子辞書で調べてみると、そこには「太陽の黄経が135度のとき」とある。”黄経”は春分点から黄道上を東へ測ったときの角距離だから…、なんてこった!暑いはずだ。

理系の人は図を書いてみればすぐに分かる。文系の人は高校時代の数学の授業をちょっと思い出してみて欲しい。「黄経135度」というのは黄道上で、夏至を過ぎてから45度のところだ。夏至を過ぎてから、太陽の高さは、黄道上の角度に関してコサインカーブを描いて減じる。

コサイン45度は√2÷2で、0.71くらいだから、立秋の時点では、夏至のときに太陽が達するピークの高さの71%も残っている。地軸の傾きが23.5度、その71%だから大体16.6度、東京の北緯35.7度を考慮すると、垂直位置から19.1度。つまり、立秋などと言っても正午には、地平線から見て70.9度の高さまで太陽は昇る事になる。

冬至のときには、同じ正午でも地平線から30.8度の高さまでしか上がらない事を考えるとこれがいかに「真夏に近い」か分かる。もともと地球の大気は暖まるのに時間が掛かるため、夏至から二ヶ月後辺りに暑さのピークがやってくるのだ。即ち今頃だ。なのに立秋とはこれいかに。

と、ボヤいてみても仕方がない。だが、暑いとG5のファンがゴーゴー音を立てて回り出す。ゴーゴー言わせておいても良いが、やはりファンの音が気になるので、「今日は比較的涼しいかな」というような日でも、ついクーラーを入れてしまう。

ところでファンの音と言えば、以前、BTOで入れたグラフィックカードRadeon 9800 Proから異音がするという話を書いた。あの後、このグラフィックカードは、別の原因でもっと大きな音がするようになっていた。暫くの間は原因不明。でも明らかに、グラフィックカードに負荷をかけたときに音が出る。部屋の気温が高い時はてきめんだ。

G5を開腹していろいろと試しているうちに、どうやらグラフィックカードの基盤全体が振動して音を出しているらしいという事がわかった。そこでが振動を抑えるため、基盤下に消しゴムを小さく切って挿んでみたり、カードの取り付け方が悪いのかも、と何度も外しては付け直してみたり、といろいろやってはみたが、あまり改善は見られなかった。

そのうちにiPhoto程度の作業でも振動音がするようになったので、これはなんとかせねばと思い、基盤を完全に固定しつつ、振動によるカード固定ネジのゆるみも防止する方法を模索した。結果はシンプルイズザベスト。ネジロック剤を使ってカード取り付けネジを固定することで解決した。その際、ワッシャをペンチで挟み、ほんの少しだけ歪ませて緩衝材とした。

さて、このちょっとした工夫とも言えない程度の工夫によって、もはや私のMacから妙な振動音はしなくなった。まだまだ”残暑”は厳しく、ファンがゴーゴー回る季節。あなたも、200円のネジロック剤一本で幸せになれるかもしれない。

追加情報:iMac G5のスペックはこんな感じみたいです。



Shade7始めました         8月14日(土) 2004
PowerMac G5の高性能をもっと活用せんと、以前から興味のあった3Dに手を付けてみた。”始めました”などと偉そうに(?)言ったところで、まだShade7は先週入手したばかり。今後いろいろ試していこう、という段階。

さて、ここでただ「ソフトを購入!」などと言ってみたところで、面白くもなんともない。そこで、ベンチマーク代わりにShade7のCDに付属するサンプルデータをレンダリングしてみた。レンダリングに要する時間はデータの複雑さは元より、レンダリング手法等によっても大きく違ってくる。

また3DレンダリングはCPUパワーをフルに使うため、Shade以外のアプリを同時に立ち上げているだけでレンダリングに要する時間が通常よりかなり長くなる場合がある。アクティビティモニタで作業状態を監視していると、レンダリング中は常に”ユーザ”と”システム”のCPU稼働率の合計が100%になっていることからも、いかにCPUを酷使しているのかが分かる。

余談だが、今回いろいろと試している間、アクティビティモニタのCPU稼働率表示が100%を越えることは無かった。以前、OS X v.10.3.1だったか2だったかを使って、何かの作業をしたときには、CPU稼働率が確か150%を越えたような記憶があったので、Shade7はDual CPUに対応していないのだろうと思っていた。

ところがCPUを一つOFFにし、シングルCPUモードでレンダリングしてみたところ、完了までの時間が2割方長くなった。これはどういうことなのだろうか。単にDual CPU稼働時には、もう一つのCPUがシステムを動かすのに回ったために結果としてレンダリングが早く終了したのか。

それとも現在使用しているOS X v.10.3.5では、アクティビティモニタ使用時に、Dual CPUのトータルでの能力を100%とし、常にCPU稼働率の合計が100%を越えた表示にはならないように変更されただけなのだろうか。

前者だとしたなら、100%を越えるCPU稼働率の表示があってもおかしくは無いはずだが、アクティビティモニタを見る限りでは、今回、一瞬たりとも100%を越える事はなかった。かと言って、個人的には後者もちょっと考えにくい気がする。後述:アクティビティモニタ下部のCPU動作状況を見る限りではここに書いた通りだが、プロセスウィンドウ上ではCPU利用率が100%を越える事を確認した。つまりプロセスウィンドウでの"%CPU"はCPU一つ当たりのMaxを100としたもので、アクティビティモニタ下部の方はDualでMax100のようだ。実際、アニメーションレンダリングをさせてみたところ、プロセスウィンドウ上でのShade7のCPU利用率はあっという間に140%を越えた。

閑話休題。レンダリングに要する時間は、全く同じ条件下で行っても、その都度、多少のばらつきが出る。キャッシュの関係もあるだろうが、それだけではない感じなのだ。マシンが熱くなってくるとレンダリング終了までに要する時間が徐々に短くなって行き、例のうるさいシロッコファンが回り始める程熱くなると逆にスコアが落ちる。

理由は分からないが、もしかしたらこれは半導体の特性が関係しているのかもしれない。例えば、こんな解釈はどうだろうか。半導体の抵抗値は通常の導体とは逆に、温度が上がる程下がる。そのために、ある程度の熱さまではデータのやりとりが多少スムーズになり、スコアが良くなる。ところがシロッコファンによる強制排熱の段階まで来ると、システムによってCPUのパワーが抑えられ、スコアも下がる。

他にも、ファンが高回転で回り出すことによって、モータから電気的ノイズが発生し、多少の内部エラーを引き起こしてスコアを下げる、など、いろいろ解釈はできるだろうけれど。

さて、肝心のレンダリング結果だが、さすがにG5だとかなり良好だ。結構複雑なデータを、画質重視のレイトレーシングでかつ最高画質でレンダリングしても所要時間は数十秒程度。その詳細は、以下のスクリーンショットをご覧下さい。(サムネイルをクリックすると大きな画像で見られます)

使用マシン:PowerMac G5 Dual2.0GHz(メモリ1GB)


レンダリング所要時間:92秒
手法:レイトレーシング
面の分割:最も細かい
画面サイズ:640×480

サンプル:Shade 7 CD-ROM内
山崎フミオ氏作、alien.shd

レンダリング所要時間:31秒
手法:スキャンライン
面の分割:細かい
画面サイズ:640×480

サンプル:Shade 7 CD-ROM内
山崎フミオ氏作、alien.shd

レンダリング所要時間:4秒
手法:スキャンライン
面の分割:粗い
画面サイズ:400×300

サンプル:Shade 7 CD-ROM内
追加サンプル、YAMATO.shd


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